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平成24年度

超高齢団地における安心居住の支援方法に関する実践研究

研究代表者氏名 大学院特任教授 児玉桂子
研究課題 超高齢団地における安心居住の支援方法に関する実践研究
研究結果の概要 1.研究の位置づけと研究態勢の構築
 UR滝山団地は総住戸3180戸(賃貸1060戸、分譲2120戸)であり、2010年時点で高齢化率41.0%になり、10年ごとに20%以上の高齢化の進展が予測されるまさに大都市の急進的な高齢化を象徴する。2012年は大学とURが連携協定を結び、団地自治会とも協力体制を創りつつ、図1に示す「少子高齢社会の暮らしの支援」と「安全・安心の環境づくり」を実践研究の柱にして、多様な参加者と長期的展望に立った研究体制の構築に努めた。以下は図1に沿って、取り組みの成果である。
2.安心つながりの家での実践活動と効果の検証
 5月よりスタートしたコミュニティ・カフェ活動への学生グループ「滝ゆう」の参加(毎週土曜日)と多世代を対象とした交流会開催の実践を行った。安心つながりの家の効果の検証の一環として、開設前と開設後に単身高齢者(211名)に社会関係調査を留め置き調査法により実施した。開設前には67.0%が利用意向を示したが、開設後調査では利用したものは46.2%であった。回答者の約25%は70歳以降に滝山団地に入居であり、また約30%が孤立死の不安を抱くことなども把握された。今後も実践活動と調査から安心つながりの家のより良い運営のあり方について、検討を継続していく。 担当:菱沼幹男
3.暮らしの視点から滝山団地の変遷の分析
 賃貸部分の人口構成の変化はURにより詳細に把握されているが、分譲も含めた全体像の把握はほとんどなされていない。そこで、滝山団地の賃貸と分譲から構成される滝山6丁目の人口を東久留米市統計年報により昭和44年から10年ごとにⅠ~Ⅴ期に分類して、他方自治会活動を自治会により作成された40年史を基に8カテゴリーに分類して、人口構造と滝山団地自治会活動の変遷を分析した。第Ⅰ~Ⅱ期は、教育・子ども・公共交通関係などが自治会活動の中心テーマであったが、第Ⅲ期(平成1~10年)ごろから人口が急激に減少して、地域や高齢者問題に関する活動が増加した。滝山団地の自治会活動を研究者の目から整理したことは、自治会や居住者にとり今後の活動につながるエンパワーメントとなり、大変喜ばれた。 担当:北場勉
4.認知症高齢者を理解し、地域で支える(講演会)
 滝山団地の平均世帯人数を1.8とすると総人口数は約5700名であり、厚生労働省による推計値によると(2012.9)、団地内には「認知症高齢者の日常生活自立度Ⅱ」以上の方が200名以上いる。団地居住者の方々の関心も高いので本年は「認知症高齢者を理解し、地域で支える」のテーマで講演会を実施して、アンケートを行った。アンケートに回答した21名中、85%が60歳以上であり、全員が講演内容は役立つと回答した。今後、認知症になっても住み続けられる団地を目標に調査の実施や支援のあり方を検討する。 担当:下垣光・児玉桂子
5.近隣環境のアセスメント(相談援助演習Ⅲと連動)
 ソーシャルワーカーとして地域環境資源に理解を深めるために、キャプション評価法を用いた近隣環境アセスメントを行い、滝山団地周辺の環境の強み・弱みを整理、地図にプロットした。また、団地住戸の見学とURへのヒヤリング等を行い、この情報をもとに滝山団地でデイサービスを展開するとしたらという想定で演習を行った。この成果の一部について、団地自治会と意見交換をした。今後も滝山プロジェクトを活かした演習授業を検討していきたい。 担当:大島千帆・後藤隆
6.デイサービスにおける効果的な支援と環境づくり
 滝山団地の将来構想には、生活支援施設の誘致が検討課題とされている。本研究は、それを念頭にデイサービスにおける効果的な支援と環境づくりをテーマとした。デイサービスは介護保険の中で最も普及しているサービスであるが、軽度から重度までの多様な利用者、認知症高齢者の増加、利用時間の長時間化などの課題も多い。
本研究ではこれまで特養など入所施設に適用してきた「6ステップの施設環境づくり支援プログラム」をタイプの異なる2か所のデイサービスに適用する介入研究を行い、支援効果を上げる環境づくりを明らかにすることが目的である。本年度は、環境づくりプログラムのケアと環境への気づきを高める(ステップ1)、キャプション評価法を用いた環境課題の抽出(ステップ2)、課題に基づく環境づくりの計画立案(ステップ3)までを終了した。次年度はこの計画を事業計画に位置付けて、環境づくりの実施(ステップ4)、新しい環境をケアに活かす(ステップ5)、環境づくりを振り返る(ステップ6)を行う予定である。 担当:鈴木みな子・児玉桂子
7.団地の少子高齢化に関する文献の収集と内容の分析
 国立情報学研究所のデータベース(CiNii=2012年9月27日)より団地×高齢化、団地×少子化等で検索を行い、294文献を取り上げた。著者作成のキーワード(ない場合にはタイトル)により、大分類や中分類を行った。その結果、団地の高齢化に比べて、少子化に関する文献は10%程度とたいへん少ない。コミュニティのキーワードがつく文献は38%あり、内容は地域交流や支えあいに関するものが多い。生活支援のキーワードがつく文献は25%あり、内容は支援サービスに関するものが多い。収集文献の研究領域は、建築・都市計画系が66%とたいへん多く、福祉・保健分野は10%程度と少ない。
 以上から、団地を対象に少子高齢社会の暮らしの支援に福祉をはじめとして多分野から取り組む研究は、まだ少なく貴重であることが明らかになった。 担当:児玉桂子
8.その他
①自立した生活と転倒予防
 年齢とともに転倒のリスクが上がることは知られており、「日本転倒事故予防協会」によると、15~44歳に対して、80歳以上の高齢者が転倒により死に至るリスクは100倍以上といわれる。本年度は転倒リスクに関する文献収集と滝山団地居住者に向けた転倒予防教室の案を作成した。 担当:廣瀬圭子
②団地のリニューアル事業への支援
 URは団地の活性化とその持続のために、安心つながりの家の整備、中層エレベータ設置、屋外環境整備、住戸の少子高齢対応改修、生活支援アドバイザー配置など比較的規模の小さい団地再生計画を進めている。UR等からの要請に応じて、事業への専門的助言を次年度以降に予定している。 担当:児玉桂子・古賀誉章・沼田恭子ほか。
③UR住戸を活用した学生のハウスシェアリング
 当初の研究計画に位置付けたが予備調査の結果、2~3年くらい前には女子寮の不足が顕著であったが、現在は空室も見られることからハウスシェアリングへの高い要望は見込まれないため研究を中断している。 担当:児玉桂子
研究成果の活用
・提供予定
①滝山団地自治会・団地居住者・URとの公開研究会の開催
 今年度の研究成果に基づく研究会を連続的に開催することは、居住者等の新たな知識の獲得や意識の変容に寄与する。次年度の重要な研究の一部でもある。
②国土交通省やURなど建設サイドへの研究成果の提供
 本研究プロジェクトは初年度でありその研究成果は限定的である。しかし、福祉の専門家の強みは、建設サイドの弱みであり、このような研究成果の提供が期待されている。
③学会等での発表
 日本地域福祉学会や学内学会等での研究発表を行う。
研究成果物 超高齢団地における安心居住の支援方法に関する実践研究 ―滝山団地における大学・団地自治体・都市再生機構(UR)との連携―

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このページは研究調整事務室が担当しています



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