ソーシャルワークを語る

大塚さんがソーシャルワーカーとして常に大切にしていることは何でしょうか?

これは授業のテーマにもしているのですが…まず1つは、“主役は誰か”。目の前にいる人が主役になっているか、ワーカーが主役になってはいないかという自己点検の意味も含まれています。

2つ目は“現実的支援”。 夢や希望も大切なんですが、本当に現実的な支援ができているかどうかが一番大事ということですね。

3つ目は“自分を道具にする”。 自分の経験を役立てて、ソーシャルワーカーとして技術を使いこなせているかどうか。この3つを大事にしています。

人をどう理解するかは、とても大事ですね。

必ず人と向かい合ったときに考えるのは、“どんな人でも変化し成長する”ということ。まずはそれを考えながら、あとはその人の良さや強みを考えながら接しています。決して簡単ではないけれど、でも変化はしていく。日ごろからそう感じています。

ソーシャルワークの過程で、自分を出し過ぎてしまうと悩んだことはないのでしょうか?

その思いはピアカウンセリングをやって吹っ切れました。

ピアカウンセリングとは、傾聴と情報提供。もともとは精神障害を持った方たち、がんを患った方たちといったふうに同じ問題を抱える人だけが集まってやっていたカウンセリングですが、私はこれは違うのではないかと。枠を取り払って、同じ人として参加して、お互いに支えあうべきだと考えています。

その中で、私たちワーカーは相手の話を傾聴し、相手の意見に対してどう感じたかを返すという技術を使っていかなければいけない。そうすると、決して自分が前面に出過ぎてしまうことはないですね。

大塚さんが紹介されているSSTとはどんな方法ですか?その有効性は?

SST とは、ソーシャル・スキルズ・トレーニングのこと。認知行動療法を基盤とした精神療法の一つです。

ある課題に対して、自分がどう解決したいか考え、そのためにはどう行動すればいいかシミュレーションし、実際の生活の中で行動してみます。例えば“すごく仲良くしたい人に声をかける”という課題が出たとしたら、まずは名前を呼んで、にこやかに声をかけて…とか。グループで参加したときには、他の参加者からアドバイスをもらったりすることもありますね。

そして実生活の中で実際に行動した結果は、後日報告してフィードバックされます。そうすることで、ステップアップしていけるので、かなり自信をつけられます。

取り組まれているNPO法人「旭川ひだまりの会」の活動を紹介してください。

北海道の旭川で、精神療法を経験した人たちのための地域活動支援センターを経営しています。ここは市民と立ち上げたのですが、誰にでも開かれた、わかりやすい場所でありたいと思っています。

施設をやる上での基本理念は3つ、“開放性”と“対等性”と“透明性”。ここに参加する人は、人として尊重し合うこと。ソーシャルワーカーは専門職の役割を持ちながら、そこに生活するものとして存在している。ソーシャルワーカーとして日ごろ精神障害の方たちに勧めているように、スタッフもいろんなことに挑戦してみるのはとても大事。

これからもみんなで、失敗を恐れずチャレンジをし続けていってほしいと思っています。

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鈴木 客員教授

略歴

1986年 淑徳大学社会福祉学部社会福祉学科卒業

1991年 淑徳大学大学院社会福祉学研究科社会福祉学専攻社会学修士

精神保健福祉に関する地域施設、医療機関、国立研究所などにてPSWとして勤務。また日本社会事業大学教員として勤務。

現在、山梨県立大学人間福祉学部准教授。NPO法人旭川ひだまりの会理事長。