灯し、紡ぐ人

#03

地域の担い手たる気概を灯し、紡ぐ
Chapter 01

地域の家庭支援中核機関として
子どもの命と未来を守る

2005年に練馬区役所に入職し、現在は子ども家庭支援センターの所長を務めています。当センターが担っている業務は主に次の2つ。1つは、地域における「子どもおよび子育て家庭への支援に関する事業」です。乳幼児やその保護者が自由に遊べるひろばの運営や、保護者のリフレッシュのためなど理由を問わず利用できる乳幼児一時預かり事業、産前産後の体調不良等で家事支援を必要とする家庭に、区が契約した事業者を通じてへルパーを派遣し、家事をサポートする事業などを実施し、保護者の負担軽減に努めています。

もう1つは、要保護児童対策地域協議会事務局として、児童虐待通告に対応することです。子どもや保護者と面接したり、家庭へのサポートを検討・実施したりと、継続的な支援が欠かせません。児童相談所と異なり、介入的な支援ではなく、要保護児童対策地域協議会という地域の見守りの輪を強化し、地域に根差し、きめ細かに寄り添う支援を行っています。

私は、所長として、センターの運営・管理を行っています。同時に、区民の方からのご意見やご要望、ニーズなどを基に、新規事業を検討し、実現していくことも役割の一つです。また、地域での子育てを支援するため、行政の力だけではなく、区民の方々と協働で取り組めることはないか等を考えながら、工夫や検討を行っています。

生きやすい社会を拓く情熱を灯し、紡ぐ
Chapter 02

皆が困難や制約を感じない社会に。 その一助となりたい

皆が困難や制約を感じない 社会に。その一助となりたい

行政の仕事に携わりたいと考えたのは、大学時代にボッチャの競技アシスタントとして活動していたことがきっかけです。試合中はもちろん、国内外の遠征時は、日常生活を含め、多くの時間を選手と過ごしました。その中で実感したのは、彼らが多くの困難を抱えているということです。選手は試合会場への移動、競技用具の運搬、さらには日常生活における食事や着替えなどにも支援を必要としています。ボッチャは今でこそパラリンピック種目でもありメジャーな競技となりましたが、当時は知名度が低く、選手を支援するボランティアの確保は課題の一つでした。選手の多くが家族や友人、知人等に頼っている状況で、公的な援助・支援が充実すればいいのにと歯がゆく感じたものです。困っていても、声をあげることができない方もいるかもしれない。社会の障害者支援の仕組みを変え、住民と一緒により良い方法を模索できるのは、行政機関しかないのではないか。そう考え、入職を目指しました。

自分が当たり前にできることに困難や制約を感じている人がいる、どうすればそれを克服できるのだろう――。入職後、障がい者福祉、福祉のまちづくり、児童福祉とさまざまな分野の業務に携わってきましたが、いつもこの思いを念頭に努力しているつもりです。学生時代の気づきが、福祉に携わる者としての姿勢をつくってくれたと思っています。

また、ボッチャ選手のパートナーとして、常々相手がどんなサポートを求めているか、どうサポートするのが適切なのか、選手と都度話し合うようにしていました。対話を重ねてより良い結果を導き出す。この姿勢もまた、ボッチャの経験から得たもので、今に生きています。

良きまちづくりへの信念を灯し、紡ぐ
Chapter 03

母校も巻き込んだ熱い
つながりの中で
より良き社会を目指して

仕事で最も大切にしてきたことは、区民のため、区民と一緒により良く暮らせる地域をつくっていくこと。入職直後に配属された生活介護事業所(福祉園)では利用者への直接支援だけでなく、地域の方々と交流し、事業所自体が地域資源になるよう、地域との関係づくりにも注力しました。その後、担当した福祉のまちづくり業務では、障がい者や子育て中の方、高齢者、外国籍の方など、多様な区民に利用者として区立施設を見学・点検していただきました。そこで意見を収集し、施設整備を担当する庁内の関係部署に伝え、住民の声を反映した区立施設づくりに取り組みました。また、区民活動団体が発意し、地域の課題解決のために使う助成金を交付し、区民の方と一緒に地域活動を行ったこともあります。

2015年から2年間は、東京都へ派遣研修に行きました。その中で、障害者差別禁止法の施行準備に携わったときには、都庁内の関係するさまざまな部署や都内62市区町村の担当者と打合せ等を行い、ハンドブックの作成等も経験することができました。都区双方の業務に携わった経験は、住民が何を望み、何が住民にとってベストなのかを意識して業務に当たるうえで、強みになるかなと思っています。

最近では「官・民」だけでなく、「学」との連携も。大学時代にお世話になった先生方に、当センターの支援検討会議のスーパーバイザーとして来ていただいたり、研修会の講師、区の会議体の座長を務めていただいたりと、大学とのつながりが今も続いています。お互いの顔が見える、少人数大学ならではの母校のネットワークに、日々助けられていると痛感しています。

今後も初心を忘れず、関係各所と連携しながら、行政の一翼を担っていきたいです。

Message

学生の皆さんにお伝えしたいのは、勉強以外にも何か一つ「これを頑張った」と言えるものを見つけてほしいということです。私にとってはそれがボッチャです。授業で学んでいた技術や知識が選手のサポートに役立ち、実践を通じて自分のものになっていったと思っています。大学での学びをより充実したものにするためにも、ぜひ何かにチャレンジしてください。

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