有村教授×吉田さん

福祉の課題は生きることそのもの。多種多様な立場の声に耳を傾け、研究を深化させる。

有村 吉田さんは児童発達支援センターで働いておられ、現場で感じた課題の解決策を見いだすために、大学院に進学されました。
吉田 未就学児を支援しており、就学する際の情報伝達などにおいて地域との連携が不十分だと感じていました。そこで、子どもやそのご家族が児童発達支援センターを離れても不安なく暮らせるように、何ができるのかを研究したいと考えました。国や地方自治体の施策にも関わっている有村先生のゼミで、検討会を視聴したり、研究の場にもご一緒し、貴重な学びを得ています。
有村 私自身が迷いながら、考えながら、様々な場所で自分なりの役割を果たそうともがいている姿を見て、吉田さんなりの研究への向き合い方、活かし方を作っていただければと思います。吉田さんは学部のゼミにも参加し、私と一緒にコメントもしていただいています。
吉田 学部生の数だけ研究テーマがあるため、とても勉強になります。毎回考える機会をいただいていますね。
有村 学部生、大学院生、そして教員であっても、「問う」という意味では対等です。特に学部生は話題が幅広いため、大学院生として私と共に自分の見解を言語化して伝えるプロセスを2年間繰り返すことは、飛躍的な成長につながります。
吉田 大学院のゼミには、福祉施設で暮らされていた当事者や幅広い年代のOB・OGなど、さまざまな人が来られますね。
有村 福祉の課題は生きることそのものですから、多種多様な立場の方と共に「問い」に向き合うことは重要です。他者と対話をすることで自分の研究テーマを見定め、深化させてほしいと思います。
吉田 はい。児童発達支援センターを離れる際に応援してくださった子どもたちやご家族に恩返しができるように頑張ります。
有村 吉田さんは障がいのあるお子さんへの支援をテーマに研究されていますが、それは単に対象の子どもたちやご家族のためだけではありません。当事者が生きやすい社会を考えることは、全ての人が自分らしく生きることのできる社会を考えることにつながります。大変なこともあるかもしれませんが、吉田さんらしさや思いを大切に、研究に取り組んでください。

対談

有村 大士教授(左)×博士前期課程 吉田 真依子さん

※インタビュー内容は取材当時のものです。