教育理念と教育目標・3つのポリシー

教育理念

人権の尊重、社会正義の実現、共生への責任、多様性の尊重といったソーシャルワークの価値に基盤を置き、人々のニーズと社会の変化に対応し、実践の改善と開発を進め、社会の変革と人々のウェルビーイングの実現に貢献できる人材を養成します。

教育目標

今日の社会福祉は特殊な問題を抱えた一部の人々のためのものではなく、全ての人々が安心して生活し、自分らしい人生に向けて歩むための基礎として普遍的な社会福祉であることが求められるようになってきました。そして経済の成長や社会の成熟の中で、我が国の社会福祉の制度や実践も大きく発展してきました。

しかし一方では、家族、地域、産業構造や雇用形態など社会の急速な様々な変化の中、引きこもり、孤立死、生活困窮、虐待など、社会から孤立し排除され、様々な問題を深刻化させている人々への新たな取り組みが求められるようになっています。また、かつて経験したことのない少子高齢社会を迎えるに当たって、近年では、福祉・介護にとどまらず、保健・医療や教育・労働・司法・住まいなど、従来の制度の枠を超え、なおかつ地域住民の自助・互助の活動も踏まえて展開する地域での包括的な支援の構築が志向されています。こうした中で、従来からの社会福祉の制度や取り組みを超えた新たな実践の開発や組織の運営、地域の関係機関の連携・協働の促進や共生社会の実現に向けた地域づくりなど、より専門的で広範な視点や技術、力量が求められています。またさらに、福祉人材の育成と管理を充実させることによって、チーム・組織としての実践力を高めることが求められています。

このような社会福祉を取り巻く状況や課題の変化の中で、人々のウェルビーイングを実現し、社会変革を実現するために、以下のような実践能力を有する人材を育成することが、本学専門職学位課程の教育目標です。

ア.人間と社会についての深い理解と洞察力を有している。

イ.実践において、人権の尊重を最優先に考慮するとともに、その実現のために、社会変革に取り組むことが必要であると合意している。

ウ.多様に展開される社会福祉実践を深く理解し、これを言語化することができる。

エ.福祉人材の育成や組織の運営管理など、社会福祉実践に関わるマネジメントを適切に行うことができる。

オ.所属する組織の内外において、スーパービジョンを行い、連携と協働を促進させることができる。

カ.人々の福祉と社会変革のために情報発信を行い、新しい社会福祉の方法やサービスの開発、社会福祉制度の改革や創設に貢献できる。

3つのポリシー

専門職修士としての到達目標(ディプロマポリシー)

専門職学位課程では、所定の期間在学し、その教育の理念及び目標に基づいて設定したカリキュラムに従った教育を受け、所定の単位以上を修得しなければなりません。また、実践研究報告書は、指導教員による指導を受けたうえで、本学の課程で修得した知識・技術・価値を基礎として、社会福祉現場の変革と新たな社会福祉実践の創造とを担いうる専門職としての自己形成を獲得したことを示すものでなければなりません。専門職修士の学位は、実践研究報告書を提出し、最終報告会で報告し、全指導教員による審査委員会で合格した者に授与します。

本課程の修了生は、以下のような実践能力を有する者とします。

ア.福祉実践とその現場の創造的な発展に必要な基本的な知識を修得した者

イ.理論と実践の両面にわたる能力を備えている者

ウ.価値を基盤とした職業的倫理を深く理解した実践的な専門的職業人である者

教育課程編成の方針と構成(カリキュラムポリシー)

ア.人と組織、社会に関する基本的な知識、専門職に求められる倫理と価値、実践の技術法を、自らの経験を振り返りながら学び直すことを重視します。

イ.多様な学術研究を背景とした理論と専門知識の習得を目指すとともに、理論と実践をつなぐ教育を行います。

ウ.演習や事例検討をはじめ、「経験に基づき、経験を深める」という実践の省察・概念化を中心として、経験学習を深める教育方法を重視します。

エ.院生自身が自らの実践に対する振り返りを行うことを教育の中核に位置付け、その方法を獲得することを支援します。

オ.福祉実践現場における人材の育成と管理をカリキュラムの中心に据え、後進の育成、組織の管理の考え方や手法を学び、福祉現場の変革と開発を担うための教育を重視します。

カ.「共生」とは何かを思索し、専門分野に留まらず、多分野と協働することができる教育を重視します。

課程の構成

「実践研究系科目(群)」

講義科目を通じて習得したことを踏まえ、自らの実践をベースとして各自が課題を設定し、演習担当教員の指導や他の院生との討議を踏まえながら研究を進め、実践課題研究としてまとめます。そのために、研究課題を設定する方法、自らの実践を言語化し、概念化し、評価する方法、量的調査や質的調査により実態の把握や実践の効果を明確化する方法を実践評価で学びます。

「福祉基盤系科目(群)」

福祉基盤、ソーシャルワーク方法論、福祉経営の三つの分野から構成され、組織、社会と社会福祉実践との関係、ソーシャルワークや福祉経営における理論や方法など福祉専門職として習得しておくべき基礎知識や共通基盤を改めて確認します。

「福祉人材の育成と管理系科目(群)」

ソーシャルワーク・スーパービジョン、人材育成、人と組織の理解の三つの分野から構成される科目群で、福祉人材の育成と管理について学びます。また、院生自らが関与した実践事例やモデル事例等を用い、対話を通して理論と実践の統合を目指します。

「共生社会と分野専門系科目(群)」

子ども家庭、障害者、高齢者、地域・医療といった福祉の各分野における今日の実践課題とそこでの理論や方法を学ぶとともに、院生自らが関与した実践事例やモデル事例等を用い、対話を通し領域を超えて共生社会の実現に資するために共通するソーシャルワークの理論と方法の習得を目標とします。

入学者受入方針(アドミッションポリシー)

本学では、先に記した教育目標を実現するために、以下のような方を入学者として求めています。

ア.自己と他者を、人格を持つ個人として尊重できる人

イ.人々のウェルビーイングは、その人が置かれた環境と深く関係しているという考え方を理解し、その人をとりまく環境である家族、組織、地域及び社会に対して関心を高く保ち、これらの環境の改善や改革に取り組む意志を有する人

ウ.自身の社会福祉実践力の向上はもとより、自己が属する組織や団体の福祉実践力、あるいは地域や社会の福祉力の向上に意欲や関心を有する人

エ.社会福祉などの対人援助実践、あるいは社会福祉などの機関・組織・事業所において運営管理の業務に携わり、自らの実践を幅広く振り返る経験を有する人

選抜方法

以下のように入学者の選抜を行う。

  • 有資格者入試の選抜は,書類審査(実践研究計画書、実践記録)、小論文、面接審査を総合的に評価する。
  • 一般入試の選抜は,書類審査(実践研究計画書、実践記録)、小論文、筆記試験(語句説明)、面接審査を総合的に評価する。
  • 推薦入試の選抜は,書類審査(実践研究計画書、実践記録、推薦書)、小論文、面接審査を総合的に評価する。