教員 × 院生対談
他職種の仲間とのディスカッションを通して、自身の課題を見つけ出し、「問い」と向き合う日々
田邉:私は自治体の社会福祉専門職として長年勤務しています。現場で経験を積んできた一方で、管理職という立場になってからは、後進をどう支えていけばいいのか悩むことが増えました。そこで、自分のこれまでの実践や考え方を一度きちんと整理したいと考えるようになりました。
須江:田邉さんのように現場での経験が豊富な方でも、新たな立場になると戸惑うことが出てきます。専門職大学院は、まさにそのような方が現場で感じてきた葛藤を言語化し、問いを立て、自分なりの答えを見つけていく場所だと思っています。
田邉:本大学院を知ったきっかけは、職場で見た本学のリカレント講座の案内です。受講してみたところ授業の内容がとても面白く、もっと深く学びたいと思ったのですが、当時は平日夜間の通学面に不安があり迷っていました。そんな時、授業がオンライン対応になったことを知り、思い切って願書を提出しました。
須江:研究テーマはどうやって決めましたか?
田邉:私の研究テーマは、政令指定都市の社会福祉職の人材育成について、その現状と課題を明らかにすることです。自身が働いている現場そのものが研究対象であり、切実なテーマでした。入学当初は、自分のスキルアップへの関心が高かったのですが、授業やゼミを通して若手や中堅職員の立場・状況について学ぶ中で、後進を育てる管理職としての自覚がより芽生えました。
須江:経験豊富な実践者が、自らを省みながら後進を支える視点を持つことは、現場にとって非常に大きな意味があります。ゼミでは、異なる専門分野の仲間と意見を交わす中で、視野を広げることができたのではないでしょうか。
田邉:ゼミはディスカッション中心で、とても大きな刺激を受けています。他職種の仲間たちと悩みを共有したり、私にはなかった視点に触れたりしながら、「自分はこのままでいいのか」という問いと向き合い続けました。
須江:現場の課題を真摯に見つめるとともに、自分の在り方を問い続けた田邉さんの姿勢は、本当に素晴らしいと思います。これからも、研究で得た視点を実践に活かし、後進の育成にご尽力ください。応援しています。
須江 泰子 准教授(左)×田邉 総男 さん(右)
※インタビュー内容は取材当時のものです。