教員 × 院生対談
実践を省察し、多様な視点に触れることで、自分の役割について言語化することができた
下川:私は小児周産期の病院でソーシャルワーカーとして働いています。小児病棟での業務においては、患者さんはもちろん、ご家族への支援のあり方について悩むことも珍しくありません。そこで福祉職としての視点を整理したいと考え、大学院に進学しました。
木戸:実践での課題意識から大学院に進学される方は多いですね。日々の仕事に励みながら実践を振り返る時間を確保するのは難しいことですが、ゼミでは多様な視点・角度から、支援のあり方を探究する姿勢を大切にしています。
下川:本ゼミには高齢者・障害者支援、病院、学校、行政など、さまざまな分野からソーシャルワーカーが集まっており、自分の職場だけでは得られない視点に触れることができました。特に、私自身の課題意識や業務のあり方について議論を重ねる中で、患者さんだけでなく、その周りのご家族を支える「家族支援」の重要性を改めて認識し、病院ソーシャルワーカーとしての役割を言語化できたことは大きな学びでした。
木戸:実践現場では目の前の課題に追われ、悩みを抱え込んでしまうこともあります。ゼミでその気持ちを整理し、異なる角度から考え直すことで、新たな気づきを得る場になればと考えています。
下川:ゼミでの対話を通じて、自分の考えを明確に伝えられるようになりました。特に退院後の在宅療養支援について議論する中で、多職種と連携しながら「家族支援」に取り組む重要性を実感しました。ご家族の心情に寄り添いながら、適切な支援のタイミングを見極めていきたいです。
木戸:ソーシャルワークでは、支援者の視点が重要です。多様な立場のゼミ生と意見を共有することで、これから実践の幅が広がるのではないでしょうか。
下川:はい。在学中はソーシャルワークの理論を中心に学びましたが、修了後は修習生制度を活用し、チームマネジメントや人材育成にも取り組みたいと思っています。病院では多職種連携が不可欠なので、ここでの学びを現場に生かしていきます。
木戸:現場の実践は一人で完結しません。ゼミで得た知見を持ち帰り、還元していくプロセスが大切です。これからも学びを深化させ、専門性を高めてほしいと思います。
下川 仁美 さん(左)×木戸 宜子 教授(右)
※インタビュー内容は取材当時のものです。