
現場での苦悩や葛藤を、
多彩な領域の人たちとともに考える。
- 専門職大学院 福祉マネジメント研究科
- 北川 進 講師
- Kitagawa Susumu
- [研究テーマ]
- 災害ソーシャルワーク、地域福祉
- Member Interview
- 私は「災害ソーシャルワーク」を研究テーマに掲げ、災害時に必要な福祉的支援について、現場に根ざした実践的な手法と、そのあり方を探求しています。災害発生時には、大量の支援が一律に提供されることも多く、その結果として被災者のニーズと合わず、かえって被災された方々の回復力を損なってしまうケースも目にしてきました。同じ「被災者」であっても、それぞれ異なる生活環境・背景・被災の影響があり、必要な支援は多様で複雑です。そのため、一人ひとりの状況に応じた支援の在り方を考えることが重要であり、故に災害時にはさまざまな専門支援の連携が必要になります。その支援を適切にマネジメントする機能の強化も、研究の中心に据えています。
- 私は25年間、宮城県社会福祉協議会でソーシャルワーカーとして活動してきました。研究の道に進むきっかけとなったのは、2011年の東日本大震災です。当時、災害ボランティア活動支援や被災者支援事業に従事する中で、「支援が必要な人」と「支援をする人」とをつなぐ仕組みが機能していない現状を目の当たりにしました。需要と供給のバランスが取れず、支援の空白や重複が生まれてしまうなか、その課題に対して、現場だけでなく研究・調査の視点から新しい支援のかたちを構築する必要性を強く感じ、研究者としての道を歩み始めました。将来的には、有事の時だけでなく、平時にも役立つ地域福祉の仕組みを作ることを目指しています。
- ゼミでは、現場で支援にあたってきた方や、日々葛藤しながらソーシャルワークに向き合う方々と共に学びを深めています。本音で語り合える関係性を築くことを大切にし、院生の実践や経験を起点にした課題意識を掘り下げていく指導を行っています。現場での気づきを研究という形に昇華させ、それがまた実践へと還元される――そんな循環を生み出せるよう、共に学んでいくことを大切にしたいと考えています。
- ※内容は取材当時のものです。