在学生インタビュー

Student's Voice
学生インタビュー/
学生・ゼミ教員 対談
学科やコースによって異なる学びの内容を、学生の視点で具体的に紹介します。
福祉援助学科
福祉経営コース
社会福祉を多角的に学ぶ中で、
より広い視野で捉える力が身に付いた。
入学当初は自分に向いている福祉分野をつかみきれていなかったため、精神保健福祉士課程や保育士課程の科目も履修しました。また、福祉の現場を知るために学習支援や居場所支援などのボランティアにも積極的に参加。より広い視野で福祉を捉える力を身に付けたいと考え、福祉経営コースを選択しました。印象に残っている授業は、地域住民との福祉連携を考える「地域福祉計画論」や、友人と猛勉強したおかげで得意科目になった「社会保障論Ⅱ」などです。卒業後は幅広い事業を展開する社会福祉法人に就職します。多様な現場でさまざまな経験を積み、信頼されるジェネラリスト・ソーシャルワーカーになるのが目標です。

福祉計画学科 福祉経営コース 卒業
横山 愛莉 さん(静岡県立袋井高等学校 出身)
Close-Up Seminar 学生 × ゼミ教員対談
贄川ゼミは、精神障がい者の社会的復権、権利擁護と福祉を推し進める「精神保健福祉」や福祉課題解決に向けた「プログラム開発・改善と評価」などを扱います。私は知的障がい分野に関心があったことと、先輩方の卒業論文のテーマが多岐にわたっている点から興味を持ちました。対話を重視して学生を理解しようとしてくださる贄川先生の人柄も魅力です。
知的障がいのある人々が
福祉にアクセスしやすい仕組みづくりを。

横山:私は「軽度知的障がいのある人の一人暮らしの可能性」について卒業研究を行いました。知り合いに知的障がいの当事者がおり、「一人暮らしをしたいけれど、さまざま理由からできない」と聞きました。何がハードルになっているのだろうと疑問に感じたのが発端です。
贄川:当事者に直接聞き取り調査を行いましたね。そこから何がわかりましたか?
横山:今回、当事者3人と保護者2人にインタビューをしました。その中で出てきたのは、金銭管理や緊急時の対応がうまくできるのか、トラブルに巻き込まれないかといった不安の声です。どちらかというと当事者より親御さんの心配が強いようでした。
贄川:そうでしたね。その不安の背景と対応を考察しましたね。
横山:たとえば金銭管理の問題なら、成年後見制度や日常生活自立支援事業などの支援制度・サービスがあります。しかし、軽度の知的障がいがある人の多くは、自分で調べられない、制度の理解が難しいなどの理由で、サービスを利用できていないと感じます。いかにわかりやすく伝えるのか、保護者を含めて誰もが情報にアクセスしやすい仕組みづくりが重要だと考えました。
贄川:軽度知的障がいという制度の狭間に陥りがちな人々に対する思いは、横山さんが福祉の仕事に就く上で必要となる大切なものですね。これからも広い視野と探究心を忘れないでください。
横山:先生との対話から、たくさんの「気づき」を得ることができたと思います。
Field Report―ゼミの現場から―
ゼミではディスカッションに多くの時間を割く一方で、個別指導の機会も設けてコミュニケーションを取り、いつでも相談しやすい環境づくりに努めています。自ら調べ、思考し、根拠をもって言語化する力や、福祉ニーズを大局的に捉える力を養ってください。私は皆さんの学びを全力で支えます。
地域福祉コース
「声なき声」を支援につなげる専門職として
福祉の現場に関わり続けたい。
両親が福祉職で、兄が発達障がいを持つという家庭環境から、福祉のスペシャリストになりたいと考えるようになりました。社会福祉士、高等学校教諭一種免許(福祉)、特別支援学校教諭一種免許の3つの資格を取得し、どの現場でも「声なき声」を支援へとつなげられる人材になるのが目標です。地域福祉コースの魅力は、幅広いニーズを抱える地域のクライエントに適切なサービスや制度を提供するためのスキルを習得できること。支援の届きにくいグレーゾーンの人々へのアプローチ方法や、ミクロからメゾレベルまでにおける支援プロセスの実施といった実践的な力を養う授業が充実しています。今まで関わってきた方々に対して、支援という形で感謝を伝えたいです。

福祉計画学科 地域福祉コース 4年
大久保 瑠香 さん(東京・私立武蔵野大学高等学校 出身)
Close-Up Seminar 学生 × ゼミ教員対談
教育福祉に興味があり、この分野に力を入れている田村先生のゼミを希望しました。学校教育や福祉教育に関するさまざまな課題の抽出やその研究方法を、グループディスカッションを通して学んでいます。知識のインプットとアウトプットを繰り返し実践する中で、より深い理解を獲得。今後も田村先生のもとで意欲的に学びと向き合っていきます。
グループワークで多様な視点に触れ、
「立場」を確立する重要性を学ぶ。

大久保:田村先生は「福祉×教育」という視点で研究されています。そのテーマが興味深く、入学前から先生のゼミに入ると決めていました。現在はグループワークで毎回新たな視点を学んでいます。
田村:印象に残っているテーマは何ですか?
大久保:障がい者向けマッチングアプリについて、です。私自身はマッチングアプリに少し怖いイメージがあったのと、障がい者という枠で囲ってしまうのはどうかと考えましたが、ディスカッションでは「障がい者同士という共通点に安心感がある」「自分が障がい者だったらチャレンジにつながると思う」などの意見が出て新鮮でした。ひとつの架け橋的な取り組みであり、そこでの出会いも素敵だと考え直しました。
田村:「立場」によって考え方は変わります。私はさまざまな視点に気づく重要性をいつも伝えていますが、特に卒業論文では立場を確立することが大切です。マッチングアプリなら利用者の立場や開発・提供する側の立場、法律の立場、大久保さんなら家族の立場で考えることもできますね。どれだけ興味関心のあるテーマでも、そこにしっかりとした観点がなければ研究はできず、論文も書けません。
大久保:私は「障がい児の親における不安と希望」をテーマに研究しようと考えています。私は兄が障がい者という当事者ですが、そこに第三者の視点をどのように入れ込むか模索中です。
田村:研究目的を見極め、じっくり考えてくださいね。
Field Report―ゼミの現場から―
「福祉×教育」をテーマに掲げる中で重視するのは、学びにより「当事者性」を育てることです。ワークショップなどを通してさまざまな人々と関わり、彼らの状況を当事者性をもって認識する。そこに至るための「気づき」を大切にしてください。皆さんが福祉界の先駆者となることを期待しています。
保健福祉コース
濃密な学びで培った知見や技術を活かし、
精神保健福祉士として支援の質を高めたい。
精神保健福祉士の資格取得を目指しています。保健福祉コースには「精神保健福祉履修モデル」があり、関連する理論とともにクライエントとの関わり方やコミュニケーションスキル、ケースマネジメント、地域支援の方法などを体系的に学びました。実践的なカリキュラムや現場での実習機会が充実している点が大きな魅力です。印象的だった授業は「刑事司法と福祉」。法的視点を持つことで支援の幅が広げられると知り、卒業研究のテーマにもつながりました。本コースで経験した濃密な2年間は、私にとって生涯の宝物。築いてきた人間関係や経験を活かして業界内の協力関係を広げ、支援の質を高めていきたいです。人々がより安心して頼れる福祉環境の実現に貢献します。

福祉援助学科 保健福祉コース 卒業
山口 雄紀 さん(埼玉・私立聖望学園高等学校 出身)
Close-Up Seminar 学生 × ゼミ教員対談
社会福祉調査をベースに、エビデンスに基づいた福祉支援を研究しています。最初は福祉に対する理系的なアプローチに少し戸惑いましたが、実際にデータ化してみることで、効果的な支援を実践するためにエビデンスがどれだけ重要であるかを理解しました。学生とのコミュニケーションを大切にする新藤先生の人柄も、このゼミを選んだ理由のひとつです。
客観的データに基づくアプローチで
効果的な福祉支援の実現を目指す。

山口:新藤先生の研究について、福祉にエビデンスを用いるという発想に少し驚きました。
新藤:福祉の現場では、経験に基づく「センス」や「感覚」に頼る部分が多いのですが、それでは限界があると感じています。現場での経験だけでなく、実際にデータを用いて支援の効果を検証することが重要です。
山口:効果的な支援の実現には、客観的なデータに基づくアプローチが必要なのですね。先生はとてもフレンドリーで、学生一人ひとりとしっかり向き合ってくださいます。一緒に学び、切磋琢磨するゼミの仲間もかけがえのない存在です。
新藤:ところで、山口さんが精神保健福祉士を目指したきっかけは更生保護※に興味があったからだそうですね。
山口:はい。更生保護に携わる仕事には精神保健福祉士の資格が重要だと考え、取得を決意したのです。本学は精神保健福祉士という国家資格の創生にも大きな影響を与えた大学と知り、基盤を築くには最適だと確信しました。
新藤:将来の展望はどうですか?
山口:精神保健福祉士として精神科病院で働き、クライエントにとって最も適切なサポートを提供できるよう努力を重ねたいです。そこで実務経験を積み、いずれは社会復帰調査官や医療観察法に携わる仕事に就くのが目標です。
新藤:頑張ってください。今後の活躍を期待しています!
※更生保護:犯罪や非行をした人を社会の中で適切に処遇し、自立と改善更生を手助けすること。
Field Report―ゼミの現場から―
学生の皆さんは、授業やゼミで受け身になるのではなく、自分から貪欲に学ぶ姿勢を大切にしてほしいと思います。日々のやり取りを通して、学生の成長をサポートするのが教員の使命。私も皆さんと一緒に学ぶつもりで取り組んでいます。自分で考え、学び、気づく力を本学で養ってください。
子ども・家庭福祉コース
不登校に悩む子どもと家族に寄り添う
スクールソーシャルワーカーへ。
社会福祉士とスクールソーシャルワーク(SSW)の教育課程を同時に履修できるカリキュラムは、まさに自分が求めていたものでした。「子ども・家庭福祉」というコース名の通り、子どもだけでなく保護者の視点から理解を深める授業も多く、子どもと家庭を包括的に支援するための知識と技術を習得できます。印象に残っている授業は、2年次の「スクールソーシャルワーク」「不登校」をキーワードに、その歴史や背景、現行制度と課題について学びました。4年次から本格化したSSW課程においても、この授業で得た知識が役立っています。将来は不登校に悩む子どもとその家族に寄り添い、支援するスクールソーシャルワーカーとして、教育現場に携わりたいと考えています。

福祉援助学科 子ども・家庭福祉コース 卒業
一条 海斗 さん(福島・私立尚志高等学校 出身)
Close-Up Seminar 学生 × ゼミ教員対談
入学前からスクールソーシャルワークや子どもの居場所といった内田先生の専門分野に興味がありました。さらに、フィールドワークとして子どもと関わるボランティアに取り組むなど、ゼミの方針にも深く共感しました。地域の子どもたちと実際に触れ合い、一緒に遊びながら信頼関係を構築できた経験は、とても大きな学びになったと感じます。
「地域の居場所」での触れ合いを通し、
不登校の子どもたちに対する理解をより深めた。

内田:一条さんの卒業論文は「不登校児童生徒と地域における居場所との関わり」というテーマでしたね。
一条:フリースペースと呼ばれる、主に不登校児童が過ごす「居場所」にボランティアとして参加しています。そこで実際に子どもたちと関わりながら、居場所とつながることによって彼らにどのような変化が表れるのかを考察しました。授業の一環である実習は職業教育的な側面もありますが、こうした地域での関わりは、より自由で自然なスタンスで子どもと接することができます。おかげで不登校支援に対する理解が進んだと感じます。先生は中間報告のたびに、私の発表内容を図にまとめてくださいましたね。追究すべき問題を明確化でき、研究をより進めやすくなりました。
内田:実習では学びの多様化学校にも行きましたね。
一条:はい。不登校児童に学習機会を提供する教育の場が学びの多様化学校ですが、そこでは子どもたちが学びたいことを自由に選んでいました。
内田:学びの多様化学校では、子どもたちが自分の興味や関心に沿って自由に学びを選べます。そうした環境だと、彼らの方から自然にやりたいことが芽生えるのです。このスタイルはカリキュラムが先に決まっている既存の教育とは逆のアプローチですね。
一条:不登校支援の研究は入学当初からの目標でしたが、本学で福祉全般について学ぶうちに、不登校の背景にある要因をもっと理解する必要があると感じました。高度で専門的な支援を行えるように、幅広い視野と知見を身に付けていきたいです。
Field Report―ゼミの現場から―
ゼミでは基本的に私から一方的な指示を出しません。研究のテーマやフィールドは学生一人ひとりが独自の興味から選び取り、教員はそれをサポートしていくというスタンスが重要だと考えます。大学のシステムの中で、可能な限り自由な学びの環境を提供できるように努めています。
介護福祉コース
地方出身者も安心して学べる環境。
培った経験を介護の現場に還元したい。
実家ではずっと祖父母と同居していて高齢者と接する機会が多く、自然と介護福祉や高齢者支援に興味を持つようになりました。本学は社会福祉士と介護福祉士のダブルライセンスを目指せる点と、国家試験合格率の高さが魅力です。また寮があるので、安心して生活できる環境も整っています。介護福祉コースは少人数制の講義や演習が行われ、アットホームな雰囲気。先生方に質問や相談がしやすいです。苦手だった人前での発表も、グループワークで少しずつ克服していきました。1年次から介護実習があり、実習先では夜勤アルバイトも経験。介護技術の面で大きく成長できたと感じています。卒業後は、利用者さんやそのご家族に寄り添い、信頼される介護福祉士を目指します。

福祉援助学科 介護福祉コース 4年
廣崎 結華 さん(大分・私立福徳学院高等学校 出身)
Close-Up Seminar 学生 × ゼミ教員対談
高齢者と子どもとの世代間交流活動の実践や、農福連携による地域の活性化について研究している点に興味を持ちました。親身に話を聞いてくださる先生の人柄にも信頼感を覚えました。「教科書に書いてあることだけが正解ではなく、現場で学びながら自分の視点を持つ姿勢を大切に」という教えを忘れず、今後も経験を積み重ねていきたいです。
実習や演習を通して経験を積みながら
実体験に根ざしたテーマに取り組む。

永嶋:3年次は活動を通して卒業論文のテーマを探し出す時期ですが、もう見つかりましたか?
廣崎:私の祖母が定年後も障がい者施設で働き続けていることに関心があるので、それをテーマにつなげようと考えています。
永嶋:高齢者が元気に働き続ける姿を見てきたという実体験に基づくテーマは非常に価値があります。ぜひ卒業論文として深掘りしてください。
廣崎:ゼミの先輩方は、どのようなテーマで研究されているのですか?
永嶋:バラエティーに富んでいます。例えば施設内で行われる麻雀が、コミュニケーションの観点で高齢者の生きがいにどう役立っているか。また、園芸活動が保育園児に与える影響を研究している学生もいます。
廣崎:園児と園芸といえば、先生は「農業と福祉の連携による地域活性化」という研究をされていますが、その一環で校内でヤギを飼われています。先日、施設の方から「永嶋先生って、ヤギの先生ですよね?」と聞かれました(笑)。保育園児が見学にも来ていましたね。
永嶋:ヤギは除草用に飼育を始めたのですが、地域の方々とのつながりがヤギをきっかけに広がっていることに私も驚いています。ここから予期せぬ新しいプロジェクトが生まれるかもしれません。
廣崎:それは楽しみです!
永嶋:廣崎さんはゼミ活動やイベントにも積極的に取り組んでいて、その姿勢がゼミ全体に良い影響を与えています。今後もどんどん挑戦してください。
Field Report―ゼミの現場から―
福祉職には臨機応変に解決する力が求められます。教科書に書かれていなくても、現場で実際に感じたことを重視する。それが新しい気づきや発見を生むきっかけとなります。まずは基礎をしっかり学んだ上で、柔軟な応用力を身につけましょう。多角的な視点を大切にしてほしいと思います。